いささめに読書記録をひとしずく

お勧めの書籍や論文を紹介して参ります。

おじいちゃんといっしょドラッカー講座朱夏の陽炎

德薙零己著「ゆるしてと言えない」

ゆるしてと言えない 朱夏の陽炎 ~德薙零己短篇集~

舞台は曇天の墓場から始まる。一人の少女が墓参りをしているところを一人の少年が眺め、少年の存在に気づいた少女はその場を少年に譲る。

墓から離れていく少女。

だんだんと降り出す雨。

少女は傘をささずに濡れながら歩き、少年の差し出した傘の中にも入ろうとしない。傘の中に入ることは許されないという彼女。

少年は彼女にそこまで自分を卑下しないよう求め、普通であろうとして欲しいと訴える。

少女は言う。自分は犯罪者の娘だと。自分の父親は少年の両親を殺した男なのだと。

今日はその事件が起きてからちょうど10年。だからこそ今日は注目を浴びてしまう。

それでも少年は言う。普通であろうとするために守り続けると。