いささめに読書記録をひとしずく

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畑中三応子著「体にいい食べ物はなぜコロコロと変わるのか」(ベスト新書)

体にいい食べ物はなぜコロコロと変わるのか (ベスト新書)

結論から先に言うと、「栄養学をナメるな」である。

特定の食べ物だけ食べて健康になることもないし、特定の食べ物の効能でダイエットできることもない。

同じ食品でも、時代、研究方法、そして資金提供元によって結論が180度変わることがある。具体的には健康食品メーカーや製薬会社、そし時代の政府機関などが研究資金を提供し、都合のいい結果を強調するケースがその例であり、メディアに乗って、論文の限界や不確実性を無視して「○○が最強!」とか「○○は危険!」と煽る。この流れはどれほど繰り返してきたことか。

「卵はコレステロールが高いから控えなさい」→「卵は完全栄養食だから毎日食べなさい」  

「バターは体に悪い、マーガリンが健康にいい」→「マーガリンのトランス脂肪酸は危険、バターに戻そう」  

「糖質は太る元凶」→「いや、糖質は脳のエネルギー源だ」

このように体にいいと言われた食べ物が数年後に悪者扱いされることもまた珍しくない。

「○○たくさん食べている人は長生きだった」なんてのはよくメディアに登場するスフレーズであり、「○○が長寿の原因」という短絡な結論を導き出しがちだが、そんなものに因果関係は証明できない。だいたい、まともな研究者はそのようなことを言わない。

また、健康で安全なイメージのある自然由来の物質からなる食品、不健康で猛毒をイメージさせる科学的な生成物質による食品とがあるが、前者にも猛毒はあるし、なんなら後者のほうが科学的に精製されたものの方が安全だということも珍しくない。

結局は、訳のわからないブームや謎の情報に惑わされることなく、バランスよく食べるのが一番現実的であるというのが本書の作者の結論である。