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廣瀬匠著「天文の世界史」(集英社インターナショナル)

天文の世界史(インターナショナル新書) (集英社インターナショナル)

地球上に人類が誕生する前から夜空には星が存在していたわけで、夜空を見上げられるならたならば星という概念は必ず理解できる。しかし、その正体はわからない。太陽と月を除いたなら暗闇に浮かぶ点であり、ごく稀に現れる彗星を除けば色とりどりの点でしかない。

もう少し夜空を見上げ続けると、夜になるたびに同じ点が夜空に並んでいることが理解できる。

さらに夜空を見上げ続けると、星が回転していることを理解できる。

地球上に人類が誕生し、文明を築き上げたときにはもう、北極星南十字星を中心として、星が円運動をすることが理解できるようになっていた。歳差運動で北極星が入れ替わることはあるが、北は常に北であり、南は常に南であり、星は南北の軸を中心として回る存在だと理解できるようになった。

この理解は世界各地でバラバラに起こった。なぜか?

緯度が違えば見える星空も違うのだ。

現在の天文学の中心は古代ギリシャをスタートとする西洋文明とその後継である。だが、その他の地域でもその土地からの夜空の観測に基づく天文学が作られ、独自の発展を見せたのである。イギリスのストーンヘンジマヤ文明天文学は有名なところであろう。

ただし、天文学のスタートは世界各地でバラバラに起こっても、最終的には一つに行き着く。別の宇宙が理論上は存在していても、いまの人類が目にできる宇宙は一つしかない。正確な観測が、そして宇宙の構造への理解を進めたならば、一つの結論に行き着く。

本書は、イスラム世界や、中国、インドの継続した観測、そして中世ヨーロッパの天文学の停滞を描いたのち、コペルニクスによる地動説、ティコ・ブラーエの観測、ケプラーの法則などの革新から地動説を導き出すに至る道程を描き、ガリレオの望遠鏡観測と、ケプラーニュートンの理論の止揚による機械論的宇宙観の確立を記す。

それからあとは今に生きる人類が把握するところの天文学である。理論先行による観測結果からの海王星の発見にはじまり、分光分析の導入、星間距離の測定、銀河の構造解明。観測技術の進歩と天体物理学の萌芽といった19世紀の天文学の発展があり、20世紀に入るとアインシュタイン相対性理論量子力学の応用、ハッブルの宇宙膨張発見、ビッグバン理論、ブラックホール理論と観測、そして、人間が直接あるいは人工衛星射出による間接的に宇宙に出向いての宇宙探査の時代を迎える。

一定以上の年齢の方であれば、本書に記されていることの少なからぬ部分が実際にニュースとして目にしてきたことであろう。あるいは、多くの人にとっては世界史の教科書で学んできたことであろう。それらの知識は本書で結合される。