従来であれば莫大な時間、莫大な予算、莫大な人員を必要としてきたことを、インターネットの普及は短期間で、廉価で、極論すると自分一人でできるまでにした。そこには本来であれば「平等で民主的な空間」ができあがる、はずであった。
本書を著したマシュー・ハインドマン氏は、こうした幻想を、実証データと経済モデルで徹底的に解体する。デジタル経済が巨大企業(Google、Facebookなど)の独占を促進し、メディアの多様性を破壊し、不平等を助長することを、ウェブトラフィック分析、統計モデル、事例研究で証明するのが本書である。
焦点は関心経済についての動き、たとえば観測者の成長や集中メカニズムについて、インターネットが自然な進化ではなく、累乗的な不平等を生む人工システムであることを強調している。平等で明的な空間であるはずのインターネットが民主主義への脅威となり、地方メディアの衰退やフェイクニュースの拡散を生み出していることを指摘している。
突き詰めると、新たな概念の創出時は公平なスタートとなるが、登場当初に発生した多少の差が時間とともに莫大な差となり、公平なスタートで横一線であった時期は早々に終わり、寡占へと向かうこととなる。その過程において数多の企業が生まれては消える一方、生き残った企業は業界の巨大企業として市場に君臨することとなる。これは何もインターネットの普及に伴う特例ではなく、市場における典型的な寡占、独占の一形態であると言えよう。
ただし、著者の主張に完全に同意できるというわけではない。インターネットが古来の従来の独占に対する楔(くさび)としての役割を担っていることは否定できない。



