「本当の自分を理解して欲しい」なんてフレーズはよくあるフレーズであるが、そもそも、本人自身が本当の自分を理解していないというのもまたよくある話だ。
自分がどのような人間であるかを見つめると、多くは現実よりも優れた自分であると自己認識してしまう。謙虚な人でも自分は上位15%に含まれていると考え、多くの人は自分が上位1%に位置すると考える。たとえばペーパーテストのように特典として明瞭な結果を示される場面においても、実際の得点ではなくあるべき自分の得点を正統な値と考え、自分をかなり過大評価する。また、本書からの引用であるが、犯罪者に対するインタビューで自分をどのような人間かを犯罪者に問うと、人として誉められる要素の多くで犯罪者達は自分自身のことを優れていると評価した、しかも、その中には遵法意識も含まれていたことからも強大化した自己は多くの人が内包していることがわかる。
しかし、脳内にある「本当の自分」と、他者からの視線にある「現実の自分」とを比較したとき、当然のことながら、社会的評価の基準となるのは「現実の自分」である。いかにしてこのことに気づかせるか?
耳が痛くなる話であるが、本書に記されているのはかなり厳しい、しかし、現実を直視することとなる内容である。
本書は多くの人に厳しい現実を突きつける。それは何も本書の読者だけでは無い。本書に記されたノウハウを実践した結果、本書の読者自身とその周囲の人にも厳しい現実を突きつけることとなる。