いささめに読書記録をひとしずく

お勧めの書籍や論文を紹介して参ります。

おじいちゃんといっしょドラッカー講座朱夏の陽炎

マウロ・ギレン著,江口泰子訳「2030:世界の大変化を「水平思考」で展望する」(早川書房)

2030 世界の大変化を「水平思考」で展望する

農業のあり方が変わってきている。たとえば、農作物製造工場が都市の内部に存在するとどうなるか? 都市への食糧輸送時に排出するCO2の排出量が激減するというのもあるし、今後の農業のあり方が、都市人口の集中と就業問題を解決する一つの答えになるかもしれないし、生産人口の縮小と老年人口の増大に対する一つの答えになるかも知れないし、食糧問題の解決につながるとも言える。

 

ドラッカーが1950年代に述べた言葉ではないが、新しい技術や新しい産業はより多くの雇用を生み出す。ただし、雇われる側も新しい技術や新しい産業に対応できる人材になっていなければならない。

近未来がどのような社会になっているかを考えたとき、今と違う時代になっていることを誰よりも早く察知できれば最良であろうが、誰もが最良の行動を選べるわけではない。それはこの書き込みをしている私自身も含まれる。
本書は2030年がどのような社会になっているのかを具体的に示している。

20世紀で終わった観念、平成でもう終わった概念をいつまでも持ち続けたまま時代の移り変わりに棹さしていては、これから続々と誕生する新たなミドルクラスに追い抜かれる。

それは個人として追い抜かれるだけの話ではなく、国家レベルの社会そのものについての話でもある。