私は少し前に、氷河期世代に採用を絞ったために、人口のボリュームゾーンが多いにもかかわらず企業の中では人員が乏しい企業が間もなく迎える、あるいは既に迎えてしまっている企業存続の危機に際し、氷河期世代を雇用することで企業存続が図れることを描いた。

そして、そのための企業組織として、ネットワーク型組織と、マックス・ヴェーバーの言うところの官僚制とを結合させたハイブリッド構造を提唱した。より厳密に言えば、組織図を引用した。


ハイブリッド構造の出典は、クリス・ファッセル氏とC.W.グッドイヤー氏の両者の共著である「ワンミッション:米軍発、世界最先端の組織活性化メソッド」(日経BP)であり、私は過去にその書籍についての書評を書き記している。そこでは、斬新かつ従来の問題を解消する新たな組織体制であることを絶賛している。これこそが氷河期世代の採用による組織永続の解決方法であることを記している。
ただし、それはあくまでも数多く存在する組織論のうちの一つでしかない。
ヘンリー・ミンツバーグ氏は1983年の名著 "Structure in Fives: Designing Effective Organizations" で組織の基本構造を5つのパーツからなるとし、マネージャー以外のマネジメントを「参加型」「分担型」「拡散型」「支援型」「最小型」の5つに分類したが、本書は1983年の書籍を更新し改訂したものである。本書は、著者の半世紀に亘る研究を統合し、あらゆる人間組織を形作る形態と力への明快な地図を提供した一冊である。
個人企業、プログラムされた機械、専門的な集まり、プロジェクトの先駆者といった複数のタイプの組織を特定し、各々の組織形態をハイブリッドに向かわせ、ライフサイクルを横断させる何種類の力を探求している。
特に着目すべきは、組織を構成する最良の方法は一つではないという強調である。私が絶賛したハイブリッド構造は企業存続と氷河期世代の雇用の双方を解決する手段として有用であるが、全ての組織において漏れなく適用できるものではない。企業存続は問題なく、氷河期世代に対する雇用も人口のボリュームゾーンに見合ったものになった組織では、また別の組織構造ということになる。




