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トーマス・セドラチェク&デヴィッド・グレーバー著,三崎和志&新田智幸訳「改革か革命か:人間・経済・システムをめぐる対話」(以文社)

改革か革命か 人間・経済・システムをめぐる対話

この本について述べるならば、127ページのトーマス・セドラチェクのこの一言に凝縮されていると言うべきだろう。

「これは解決策についての本ではなく、私より賢い誰かが解決策を見つけられる場所についての本なのです」

本書はトーマス・セドラチェクとデヴィッド・グレーバーの間で行われた対話をまとめた一冊である。金融危機、負債の問題、ネオリベラリズムと共謀する官僚制、そして資本主義の今後など、人間とシステムをめぐる問題についての討論を繰り広げている書籍である。

そして、討論については読者に見識を与える一方で、答えは出していない。

本書のタイトルにもある「改革」と「革命」も、現代社会の問題を解決するためには、既存のシステムを改善する「改革」が必要なのか、それとも根本的にシステムを変える「革命」が必要なのかという問いの姿勢を示しており、それは回答ではない。回答はあくまでも読者に委ねている。

とは言え、読者としてもその回答は容易ではないであろう。良かれと思って示したアイデアは、失敗すると歴史が証明しているか、既に存在しているかのどちらかである。